本プロジェクトで非公開映像を作成したクラウンマインと、企画者のはらだまほによる小さな小さな往復書簡を公開します。
創作プロセスやクラウンについての小さな対話を重ねました。
クラウンマイン
1992年生まれ。東京を中心に活動をしているクラウン(道化師)
世界大会2位の実力をもち、パントマイムとクラウニングをベースにバルーンアートやジャグリングなどを行う。
はらだまほ
パフォーマー/振付家
"からだとことば からだのことば"をキーワードに、
パフォーマンス/振付/ワークショップなど、
世代やダンス経験の有無を問わず幅広い活動を行う。
2021.3.2 クラウンマイン
ことば(作品譜)から受け取る印象をからだで表現をしていくプロセスがおもしろかったです。 即興で作った動きから、ビデオで撮影して、 即興の動きを調整していきながらの作品作りとなりました。
作品譜の文章が抽象的な分、作る作品も抽象的になりやすく、マイムやクラウンでの表現は具体的に見せることが多いため普段のショーで使えるような作品を作るには具体的な内容の 作品譜(小説など?)になるとよりマイムで表現しやすい作品になるように感じました。
2021.3.2 はらだまほ
抽象具体、その通りだと感じました。作品譜には具体的な身体しか指定されておらず、意味としての具体性が皆無だったので、そういった点で今回マインさんはとてもやりにくかったのでは、、、と想像しています。そう考えると、マイムにとっては意味の表現、みたいなのが必須ということなのかな、と想像しました。
即興で動いた時は、何をトリガーにしていましたか?
作品譜を即興した時と普段クラウンとして舞台に立つ時の即興のトリガー、両方伺いたいです。
2021.3.3 クラウンマイン
即興で動いたときは作品譜の中で身体の動きが規定されているので、私と別の意思を身体が持っていると仮定して動かしていました。(私の動きたい思いとは別に身体の部位が動いた時の反応のような)
普段クラウンとして舞台に立つ時の即興のトリガーはお客さんの反応によって作用されていきます。クラウンは基本的に演劇で言う第4の壁を持たないので
何かアクションを起こす→お客さんと起きた事を共有する→お客さんのリアクションを受け取る→それを受けてアクションをする→お客さんと共有→
というようなイメージで動いています。
お客さんが反応するであろうことはすべて無視せず、即興のトリガーになります
(音響が流れない、照明がつかない、そのほか想定外のことなんでも)
2021.3.8 はらだまほ
身体が独立して意思を持つ、なるほどと思いました。私自身も即興の時、「こうやりたい」よりも「こうなった」を目指すので、少し感覚が似ている気がします。
それとはまた別に、「クラウンマイン」が意思を持つ身体としてあの作品譜を読んで動いた時、どのような動きや流れになるのか、それも見てみたいような気持ちになりました。
ちなみに、普段クラウンとして即興するときは上記のような感覚で動くことはありますか?
以前女性クラウンと即興をした時、身体言語やコミュニケーション方法が全く異なっていて、海外に行った気分になったことを思い出しました。
詳細な意味はわからないけ雰囲気でなんとなく通じているような気がする、みたいな。笑
マインさんの話から考えると、おそらくクラウンとして通常は観客と築く関係性を、私とも築いていたような気がします。クラウンにとって(個人差はあると思いますが)、観客も共演者も対等で区別がない、ということなのかなと思いました。ダンスの世界ではそこまで対等なことはあまり無いような、、、どうなんでしょう。私はそうありたいな、と思いますが。
2021.3.13 クラウンマイン
たしかに「こうなった」を目指して動いている感覚は近いと思います。
ショーの構成でも予定してた通りに動かないことはよくあるので…
クラウンの即興をするときに、身体が独立して動いてしまうということはほとんどありません。(カバンが動かなくなるパントマイムなどは別ですが)
マイン本体と身体の部位が別の意思を持つと考えることが多くなってパンクしてしまうので、なるべくシンプルに考えるようにしています。ただ、本当にマインの意思とズレて身体が動いてしまった場合(間違って転んだり、物にぶつけてしまったなど)の場合は物や身体の部位などに少し意思を持った動きをさせることはあります。
私も前に女性ダンサーと作品作った時に動きは近くても言語が違うな~~と感じたことがあります!!笑 伝わるようで伝わらないもやもや!なんとなく伝わる!みたいな
観客も共演者も同等です!!
(もちろん状況に応じてはあるけど)この辺の言語化は難しいけど、お客さんの反応も共演者の反応も同じようにマインとしてリアクションしていきます。(でも共演者は表現する人として舞台に立っているのでアドリブが効く人かそうじゃないかで自分の動きを抑えたり自由にやったりの差は広がります笑)
2020.3.19 はらだまほ
私も、ちょうどマインさんと女性ダンサーのコラボを思い出したところでした!
クラウン同士、ダンサー同士でパフォーマンスする時よりも、そのナチュラルなチグハグ感がユーモラスで面白くもあるのかもしれないなあと。
関係性は双方向なので、相手によって変わるのもすごくわかります。私もあまり上手く言語化できないのですが(笑)、キャラクター(という言い方で良いのでしょうか)としての素直なリアクション、というのがすごく良いなあと思います。個人的にはダンサーはあまり訓練されていない部分かもなあと(もちろん人によります)。
最近、マイムと手話やマイムとダンスの身体の違い、みたいなこともちらっと考えたのですが(その記事についてはこちら)、身体そのものの違いよりも空間や相手との関係性の取り方の違いの方が大きいかもしれません。
2020.3.19 クラウンマイン
女性ダンサーとやった時も徐々に相手の言葉がわかるようになっていった感覚が面白かった!
単純にお互いの持ってない動きが組み合わさりやすいので表現が広がりやすそうだなと思いました。でもすり合わせが大変なのでたくさんはやりたくない笑
マイムとダンス、手話などの違いはマイム側の目線でいうと感情や内面を重視しているのがマイム、表出される外面の形を重視しているのがダンスというような認識があります。(もちろんものによりけりですが)
2020.3.27 はらだまほ
徐々に相手の言葉がわかるようになる、すごく面白いですね!振付するときに、徐々に相手の身体言語がわかるようになる(癖等も含めて)のと同じだなあと思いました。
と、いくらでも続けていけそうなのですが、ここで一旦一区切りとしたいと思います!
ありがとうございました!最後に何かあればお送りいただければと思います。
2021.3.31 クラウンマイン
ありがとうございました〜!
まほりんとの対話とてもおもしろく興味深かったです。またぜひお話ししましょう。
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